真空 エジェクタ。 SMCの真空発生器・エジェクタ

蒸気エジェクターで真空の出来る原理を教えてください。また...

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5段 耐摩耗真空パッド1. 5段 汎用真空パッド2. 5段 耐摩耗真空パッド2. 5段 鉄板用真空パッド1. 5段 薄鋼板用真空パッド1. 5段 プラスチック包装材用 真空パッド1. 5段 プラスチック包装材用 真空パッド2. 5段 段ボール用1. 5段 袋用真空パッド2. 5段 パウチ用真空パッド4. 5段 袋用真空パッド4. 5段 板ガラス用真空パッド1. 5段 長方形真空パッド3. 5段 卵用真空パッド2. 5段 汎用真空パッド 大型真空パッド 鉄板用真空パッド 鋼板向け真空パッド (耐磨耗) 鋼板向け真空パッド 縁・曲面向け真空パッド 鉄板用真空パッド1. 5段 段ボール用真空パッド1. 5段 袋用真空パッド1.

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真空とは? 真空技術の概論に入る前に、まず真空とは何かを定義しておきましょう。 文字通りの真空は、真に空、つまり何もないことを意味します。 工業的に真空とは、通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態です(JIS Z 8126-1 真空技術-用語-第1部:一般用語、ISO3529-1 Vacuum technology-Vocabulary-Part 1: General terms)。 つまり、私たちが生活している大気より低い圧力の空間は、真空です。 工業的な真空を作り出すには、真空を保持するための容器(真空容器)と、容器中の空気を排気する真空ポンプが必要です。 真空容器は、真空槽や真空チャンバーとも呼ばれます。 この場合、真空容器の中に残っているガスの振る舞い(気体分子運動論)を知る必要があります。 真空ポンプ、真空容器、気体分子運動論を合わせて、真空の3要素といいます。 真空容器中のガスの圧力や成分を知るために必要な真空計測も含め、真空の4要素という場合もあります( 図1)。 図1:真空技術の4要素 JISやISOによる真空の定義には、重要な用語が含まれています。 まず、圧力とは、単位面積当たりの力を意味し、1m 2に1Nの力が作用するときの圧力は、1Paと定義されています。 大気圧は場所や時間で変動するため、標準的な大気圧(標準気圧)が定められています。 1気圧(1atm)は101,325Paです。 JISやISOが定義する真空は、標準気圧より低い圧力ではなく、容器で隔てられた空間内の圧力が周囲の環境より低い圧力になった状態を指します。 1Nは約100g重に相当するので、大気圧は1cm 2当たり約1kg重の力になります。 つまり、真空容器には、大気側から最大約1kg重・cm -2の力が働いていることになります。 Pa以外にも、さまざまな圧力の単位があります。 3Paです。 欧州ではミリバール(mbar)が多く使われています。 25Paです。 また、北米では、psi(pound-force per square inch)が使われることがあります。 なお、日本では、計量法により、医療関係を除いたほとんどの産業分野において、Paが使われています。 真空の分類と産業応用 真空工学の分野では、圧力領域によって真空を、低真空、中真空、高真空、超高真空、極高真空に分類しています( 図2)。 図2:圧力領域による真空の分類(JIS Z 8126 真空技術-用語-第1部:一般用語) 低真空領域では、真空は、主に大気圧との圧力差を用いた力学的な用途で用いられます。 例えば、工場で製品を搬送するときに製品を持ち上げる真空チャックがあります。 船舶などから粉体の積み下ろしには、掃除機を大型化したバキュームアンローダーが用いられています。 身近な例では、卵パックなどを成形する真空成型技術があります。 これは、加熱したPETフィルムを真空の圧力差を使って力を生み出し、変形させるものです。 このように、製品を吸引したり、変形させる場合、真空と大気の圧力差の限界値は、約10 5Paです。 従って、搬送する製品の重量に応じて、真空チャックのパッドの大きさを設計する必要があります。 また、低真空領域では、物質輸送、特に水分の除去に真空が用いられます。 図3は、水の状態図です。 図3の矢印のように、室温の水(点P)の圧力を下げていくと、水は蒸発して、気体(水蒸気)になります。 そのため、水分を含んだ物を真空中に置くと乾燥します。 これが真空乾燥です。 インスタントみそ汁や、カップ麺の具材の製造に用いられています。 また、真空に物を入れると蒸発熱を奪うため、物が乾燥するのと同時に温度が下がります。 これを積極的に用いたのが、真空凍結乾燥やチルド食品です。 インスタントコーヒーの製造や、食品などの急速冷却に用いられています。 特に葉野菜は、真空冷却によって鮮度が長持ちすることが知られています。 変わった用途としては、勾配のある道路にコンクリートを敷きならす際、真空ポンプで余剰の水分を急速に蒸発させます。 これにより、コンクリートが流れてしまうのを防ぎます。 図3:水の状態図 中真空・高真空領域では、圧力が低くなるほど熱伝導率が小さくなります。 真空による熱伝導の低下を利用したものに、魔法瓶や冷蔵庫などの真空断熱材があります。 代表例は、二重にした窓ガラスの間を真空にして断熱する真空断熱窓です。 また、高真空では平均自由行程が長くなるため、蒸発した分子は真空中の残留ガスと衝突することがほとんどありません。 このような圧力領域は、薄膜作製に用いられます。 例えば、ポテトチップスなどの袋には、食品の酸化を防ぐ目的で、アルミニウムをコーティングしたポリエチレンが用いられます。 アルミニウムのコーティングは高真空領域で行われます。 超高真空になると、ガス分子同士はほとんど衝突しません。 真空容器の壁に衝突する分子も少なくなります。 このような圧力領域では、表面に原子が吸着しないため、表面分析などに用いられます。 このように、真空技術はあらゆる産業の基盤技術であり、果実のなる木のように産業を支えています( 図4)。 図4:真空技術の木(引用:真空技術基礎講習会運営委員会編、わかりやすい真空技術(第3版)、日刊工業新聞社、2010年、P. 242) 3. 気体分子運動論の基礎 真空は何もない空間ではなく、気体(ガス)が残存している状態です。 残存した気体は希薄気体と呼ばれ、真空を考えるには、稀薄気体の性質を知る必要があります。 真空工学では、希薄気体の粘性や熱伝導、拡散を取り扱います。 これは、移動現象論、または輸送現象と呼ばれる化学工学の一分野です。 真空工学では、気体分子を粘性流体(連続体)として扱うか、個々の分子の独立した輸送として扱うかによって、現象が異なります。 その違いを決める指標が、クヌーセン数 Knと呼ばれる無次元量です。 平均自由行程は、圧力pに反比例します。 仮想的な空気分子で考えることで、計算が簡単になります。 5mmであることを覚えておくと便利です。 また、クヌーセン数 Knの大きさによってガスの性質が異なります。 Kn10は分子流領域と呼ばれ、ガスの性質は個々のガス分子の独立した運動の総和で表されます。 このようなクヌーセン数による分類は、真空ポンプや真空計を選択する際に重要になります。 いかがでしたか? 今回は、真空の特徴と産業への応用、また、気体分子運動論について紹介しました。 次回は、低・中真空の作り方を解説します。 お楽しみに! 第2回:低・中真空の作り方 前回は、真空の特徴と産業への応用、また、気体分子運動論を紹介しました。 今回から2回にわたり、真空の作り方を解説します。 今回取り上げるのは、圧力領域が10 5~10 -1Paの、低・中真空領域です(10 5は、通常の大気圧)。 真空を作るには、真空ポンプを使って容器中のガスを減らします(真空排気)。 低・中真空を作るには、主に気体輸送式真空ポンプを使用します。 真空排気の基礎と真空ポンプ 真空を作るために、真空ポンプを使って容器中のガスを減らすことを、真空排気といいます。 言い換えれば真空排気とは、容器から一定量の体積を切り取り容器外に移すことで、その体積中に含まれるガスを容器から取り除くプロセスです( 図1)。 この排気プロセスによって一定の時間に切り取られた体積Sを、排気速度と呼びます。 排気速度Sはm 3・s -1、L・s -1、L・min -1などの単位で表されます。 37倍になる時間を表します。 すなわち、排気速度Sの大きい真空ポンプを使用する必要があります。 図2は容積1m 3の真空容器を、排気速度が異なる2種類の真空ポンプで排気した際の容器内の圧力変化です。 真空ポンプの排気速度は200L・min -1、または排気速度400L・min -1です。 図2が示すような圧力の時間変化を排気曲線といい、排気速度の大きいポンプの方が圧力の低下が速いことが分かります。 もちろん排気速度の大きいポンプは、大型でコストも増加するため、許容できる排気時間とコストのバランスを検討することが重要です。 気体溜め込み式ポンプは、高真空・超高真空領域で用いられます。 低・中真空領域に用いられるのは、気体輸送式ポンプです。 気体輸送式ポンプにもポンプの方式によりさまざまな種類があります。 大別すると、容積に含まれるガスを隔離して圧縮し、大気に放出する容積移送式ポンプと、ガスに一方向の運動量を与えて大気に押し出す運動量輸送式ポンプです。 表1は主な気体輸送式ポンプの種類と、作動圧力範囲です。 これらのポンプには大気圧から使用できるポンプ(油回転ポンプ、スクロールポンプなど)と、大気圧から使用できないポンプ(ルーツポンプ、油拡散エジェクタポンプ、ターボ分子ポンプなど)があります。 大気圧から使用できない場合、補助ポンプを必要とします。 図4:回転翼形油回転ポンプの作動原理(引用:株式会社アルバック カタログより) ポンプ内のシリンダが回転すると、2枚のベーンの間の空間が吸気口と接続され、回転とともに体積が増加しガスが流入します。 シリンダがさらに回転すると、次のベーンでガスが隔離、圧縮され、大気側と接続して排出されます。 ポンプ室内やベーンの周りには油の膜があり、吸入した空気を密閉すると同時にベーンなどが摩耗するのを防ぎます。 通常、到達圧力を下げるために、このようなポンプを2段直列にして用います。 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 運動量輸送式の真空ポンプ 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第3回:高真空・超高真空の作り方 前回は、低・中真空の作り方を説明しました。 今回は、高真空・超高真空領域の特徴と真空ポンプを解説します。 第1回で述べたように、10 -1Pa以下の高真空・超高真空領域では、ガス分子の平均自由行程が長くなり、分子同士がほとんど衝突しない分子流領域になります。 そのため、ガスの熱伝導や粘性が圧力の減少とともに低下します。 この圧力領域は真空断熱などに用いられます。 また、物質を高温で気化させて基板上に堆積させ薄膜を作ることや、表面の分析にも用いられます。 高真空・超高真空の基礎知識 10 -1~10 -5Paを高真空、10 -5Pa以下を超高真空といいます。 分子流領域では、真空容器の中のガス分子は、他の分子と衝突することなく容器の壁から反対の壁に到達します。 ガスの熱伝導や粘性は、1秒間に壁に衝突するガス分子の数に比例し、ガスの圧力にも比例します。 実際に壁に衝突するガスの分子数を考えてみましょう。 1秒間に単位面積の壁に衝突するガス分子の数を入射頻度といいます。 つまり、物質の表面をいくら清浄にしても、10 -5Pa以下の超高真空にしておかないと、真空容器に入れた材料の表面は短時間で残留ガスによって覆われてしまいます。 これは物質を気化させて基板に薄膜を作り、物質の極表面を分析する場合に問題になります。 中真空から高真空・超高真空にかけての真空排気を考えます。 図1は、高真空での排気曲線です。 点線は理想的な排気曲線を表します。 実線は、排気曲線が排気の時、定数で決まる指数関数的な圧力変化(図の点線)からずれて、時間とともにゆっくりになることを表します(第2回参照)。 これは、中真空以下の低い圧力の領域では、真空排気は真空容器内の空気を排気するのではなく、主に容器の壁に吸着している水を排気するためです。 図1:高真空での排気曲線 水は、私たちの日常生活に欠かせない物質です。 大気中にもかなりの水分子、つまり水蒸気が含まれています。 真空容器を大気に開放すると、この水分子が真空容器の内面に吸着します。 容器を真空排気すると、容器内のガスは速やかに排気されます。 しかし、壁に吸着している水は徐々に真空容器内で蒸発するため、排気に時間がかかります。 よって、高真空や超高真空に早く到達するためには、壁に吸着した水を速く蒸発させることが有効です。 そこで、真空容器の温度を上げるベーキング操作を行います。 ベーキングの温度は高い方が良いですが、容器に使われている材料(ゴムのシールなど)の耐熱温度に制限されます。 また、真空中では熱伝導が良くないので、真空容器の中に置かれた部品などの温度が上がるのには時間がかかります。 よって、必要とする到達圧力によってベーキングの温度や時間を決める必要があります。 表1は、高真空・超高真空で用いられる真空ポンプの作動圧力範囲を示します。 高真空・超高真空を得るためには、ここに示すような運動量輸送式と気体ため込み式の真空ポンプが用いられます。 いずれの真空ポンプも大気圧から使用することはできないため、作動できる圧力範囲になるまで補助ポンプを用いて排気する必要があります。 これを粗引きといいます。 図2:ターボ分子ポンプ(引用:日本真空協会関西支部編、わかりやすい真空技術(第2版)、1998年、P. 101) 図3は、動翼と静翼のターボ分子ポンプの排気原理の模式図です。 図の上から入ったガス分子(赤丸)は左向きの線速度を持つ動翼の下面に衝突します。 ポンプの翼はミクロに見ると凹凸があるのと、動翼の表面に衝突した分子が少しの間表面にとどまるため、衝突したガス分子は飛来した方向に関係なくランダムな方向に飛び出していきます。 このとき、図の赤い部分より青い部分の方が広いので、動翼に衝突したガス分子は全体として下に流れていくことになります。 動翼から飛び出したガス分子は、熱運動の速度(図の赤の矢印)に加えて動翼の左向きの速度(図の青の点線の矢印)を持っているので、静翼の下面にのみ衝突します。 このときもまた、下側が広く空いているため分子はさらに下に流されます。 一般的なターボ分子ポンプでは、このような動翼-静翼が10段程度組み合わされています。 このような排気原理のため、ターボ分子ポンプが真空ポンプとして作動するには、動翼の線速度がガス分子の速度と同程度である必要があります。 もし、動翼の回転が遅いと線速度も小さくなるため、今度は動翼の上面側にも分子が衝突します。 その場合、図の上側が広く空いているのでガスは上向きに流れてしまいポンプの作用をしなくなります。 図3:ターボ分子ポンプの排気原理 図4は、ターボ分子ポンプの排気速度の圧力依存性の例です。 ターボ分子ポンプは10 -1Pa程度から超高真空まで排気速度が一定で優れたポンプです。 ただし、水素やヘリウムといった特に軽い気体の場合、分子の速度が速いために排気速度が低下する傾向があります。 また、圧力が高い粘性流領域では、ガス分子同士が衝突して排気の妨げになり、ガスの粘性でモータへの負荷が大きくなって回転速度が落ちます。 ターボ分子ポンプは、分子流領域でしか作動しないため、大気圧から排気するためには補助ポンプが必要です。 そこで、第2回で説明した油回転ポンプを一般的に使用します。 比較的到達圧力が高いドライポンプと組み合わせるために、 図2で示したような、ターボ分子ポンプの高圧側にねじ溝構造の分子ドラッグポンプを設けたポンプが多くなりました。 図4:ターボ分子ポンプの排気速度の圧力依存性(引用:真空技術基礎講習会運営委員会編、わかりやすい真空技術(第3版)、日刊工業新聞社、2010年、P. 97) 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 気体ため込み式の真空ポンプ 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第4回:真空の測定方法 前回は、高真空・超高真空領域の特徴と真空ポンプについて説明しました。 今回は真空容器の中の圧力計測の解説をします。 容器を真空ポンプで排気しても、どの程度のガスが残っているのか分かりません。 そこで、真空容器内の圧力計測が必要になります。 真空の圧力を測る計器を真空計といいます。 真空計には、機械現象に基づいて圧力を測定する真空計や、熱伝導などの輸送現象を利用する真空計、電離現象を利用する真空計などがあります。 ガスの機械現象に基づく真空計 真空計とは、希薄気体の圧力を測る装置をいい、真空ゲージと呼ばれることもあります。 一般的な圧力計は、大気圧を基準として、大気圧からの圧力差を表示します。 これは、ゲージ圧と呼ばれ、大気圧以上を正圧、以下は負圧と呼びます( 図1)。 一方、真空工学で扱う圧力計は、ガスが全くない状態をゼロとして圧力を表示します。 これは、絶対圧と呼ばれます。 真空計は、大気圧以下の絶対圧を表示します。 表1:主な真空計と使用圧力範囲 ガスの機械現象に基づく真空計、つまり圧力を力として直接測定する真空計には、ブルドン管真空計、液柱差真空計、隔膜真空計があります。 この3つについて紹介します。 ブルドン管真空計は最も簡単な真空計の一つです( 図2)。 ブルドン管とは、一端が閉じられた中空のへん平金属管で、ブルドン管の中の圧力が高くなると管が膨らみます。 その変位をリンクとレバーを介してギアで針の回転として表示します。 この真空計は、大気圧以上の圧力の測定にも用いられます。 ガスボンベの調圧弁などに付属しているものもあります。 ブルドン管真空計は、大気圧以上と大気圧以下の両方の目盛りがあるものも多く、連成計と呼ばれます。 目盛りはゲージ圧で表示されていることが多く、大気圧はゼロ、ガスが全くない状態は-0. 1MPaと表示されています。 図2:ブルドン管真空計の外観と内部構造 液柱差真空計は、U字形をしているので、U字管真空計、またはU字管マノメータとも呼ばれています( 図3)。 低真空・中真空も計測することができ、ブルドン管真空計よりも少し精度の高い真空計です。 管内には水や油などの液体を入れます。 左右の管に圧力差があると、液面の高さの差となって表れます。 p 1を非常に低い圧力にしておけば、左右の液面の高さの差から絶対圧が読み取れます。 また、p 1を大気圧にしておくと、液面の高さの差はゲージ圧となります。 このような真空計は、作動液に油を用いて10Pa程度まで測定できるものもあります。 図3:U字管マノメータの測定原理 隔膜真空計とは、ダイヤフラムと呼ばれる薄い板の圧力による変形(たわみ)を利用する真空計です。 ダイヤフラムの変形の検出には、静電容量の変化で捉えるものや、ひずみで電気抵抗が変化するストレインゲージを用いるもの、ひずみによって機械的な振動周波数が変化することを利用するものなどがあります。 近年、半導体の微細加工技術を用いて、ストレインゲージやアンプを内蔵したIC、さらにダイヤフラムそのものをシリコンで作製し、アンプなどを一体で組み込んだ真空計や圧力センサが各メーカーから市販されています。 このような真空計は小型な上に、安価で、直線性も良く、DC電源さえあれば簡単に大気圧から100Pa程度までの圧力が測定できます。 また、機械特性の温度安定性に優れたサファイアをダイヤフラムとして使用した隔膜真空計には、0. 002Pa程度の圧力まで測定できるものもあります。 ガスの輸送現象を利用した真空計 ガスの輸送現象を利用した真空計には、ピラニ真空計、熱電対真空計、水晶摩擦真空計があります。 この3つについて紹介します。 ピラニ真空計は、ガスの熱伝導が圧力に依存することを利用した真空計です。 図4はピラニ真空計の測定原理です。 センサ内に白金、タングステン、ニッケルなどの細い金属ワイヤが張られていて、電流導入端子を介して外部から電流を流します。 このとき発生するジュール熱でワイヤが発熱します。 金属の電気抵抗は絶対温度に比例するため、ワイヤの電気抵抗が一定になるように電流を調整することで、ワイヤの温度は常に一定になります。 ワイヤの発熱は、センサ内のガスを通じて容器に達して放熱されます。 分子流領域ではガスの熱伝導は圧力に比例し、圧力が低いほどガスによる熱伝導が小さくなります。 そのため、圧力が低いほどワイヤの温度を一定に保つための電力が少なくなり、流れる電流が小さく済みます。 そこで、ワイヤに流れる電流値から圧力を読み取ることができます。 図4:ピラニ真空計の測定原理 ガスの種類によって輸送特性は異なるため、熱伝導を利用した真空計では、ガスの種類によって表示値が異なることになります。 真空計は窒素ガスで校正することになっていて、これを窒素相当圧といいます(JIS Z 8126-3 真空技術-用語-第3部:真空計及び関連用語)。 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 ガスの電離を利用した真空計 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第5回:真空用材料と部品 前回は、真空の測定方法について解説しました。 今回は、真空中で使える材料の説明をします。 到達圧力を下げるためには、真空容器や容器内の部品などから発生するガスを低減させることが重要です。 また、真空容器や配管にはフランジなどの接続部分があるので、大気中からガスが漏れてこないようにシールする必要があります。 このようなシール部分からのガス放出や透過も抑える必要があります。 真空容器などの漏れを探す方法やその対処法を解説します。 ガスの発生と真空で用いられる金属材料・無機材料 真空容器や真空内で用いる部品は、機械強度などの特性を吟味することはもちろん、真空環境に置いた時にガスを放出しないことが求められます。 真空容器の中で発生するガスは二通りあります。 一つは、容器や容器内に使用されている部品などの材料中や、材料表面から発生するガスです。 もう一つは、容器や配管などの接続部分のガスケットから透過したものです( 図1)。 毎秒当たりのpV値を流量といい、Pa・m 3・s -1またはPa・L・s -1で表します。 真空容器内に流入するガスの流量Qが小さいほど到達圧力が下がることになります。 到達圧力とは、容器内のガスの発生量と真空ポンプの排気量が釣り合って到達できる最低圧力です。 図1:真空容器からの脱ガス 以上のことから、到達圧力によって、どの程度ガスの発生量を考慮しなければいけないのかを考えてみましょう。 例えば、食品の保存に使う真空パックなどの低真空ならば、ガスの発生量が多い安価なプラスチックを用いても問題になりません。 むしろ、大気圧との差による1kgw・cm -2の力に耐える強度があるかが重要になってきます。 一方、高真空・超高真空が必要な用途では、できるだけガスの発生量を抑えなければならないので、真空容器や中の部品、配管などは金属やガラス・セラミックスを用いる必要があります。 高真空・超高真空でも使えるプラスチックもありますが、第3回で説明したように、真空装置の加熱ベーキングを行う場合には、耐熱性を考慮しなければなりません。 それでは、真空に使われるアルミニウム、黄銅(真ちゅう)、鉄、ステンレス鋼などの金属材料について説明します。 アルミニウムは、軽くて熱伝導が良く、延性が高くて機械加工が容易なため、構造材として広く使われています。 銅やマグネシウムを添加したアルミ合金は、強度が高く加工性も良いので、真空容器や真空内の部品によく用いられています。 アルミ合金の部材をTIG溶接する際、酸化物や炭化物によるホールが形成されやすく、漏れの原因になることがあります。 また、アルミの表面酸化膜は多孔質で水分を吸着しやすいため、高真空や超高真空領域で用いるときには注意が必要です。 黄銅(真ちゅう)は、切削性が良いため真空によく使われる材料です。 ただし、成分の亜鉛は比較的蒸気圧の高い元素なので、高温になるところに使用する場合は注意が必要です。 ニッケルやクロムメッキした黄銅が用いられることもあります。 鉄は炭素の含有量で使用が区別されます。 炭素量の少ない軟鋼(炭素含有量:約0. 08~0. 後述するステンレス鋼と比べてやや脱ガスが多いので、表面をニッケルやクロムでメッキして低減します。 鋳造品は細孔がある場合が多く、中空部分とつながっていて、ガスの発生が長く続き、漏れがあるわけではないのに圧力が下がらないといった原因になることがあります。 また、鉄製品はさびが発生するため保管に注意し、真空容器などは定期的なメンテナンスが必要です。 高真空・超高真空で最もよく用いられる金属材料は、300系のステンレス鋼です。 ステンレス鋼は強度や延性が高く、加工性が良いので真空容器だけでなく、真空中の部材や真空配管、フランジなどにもよく用いられます。 ステンレス鋼は、TIG溶接も容易で信頼性が高く、漏れの少ない真空容器を作製することができます。 真空用途には、主にオーステナイト系のSUS304L、SUS316Lが用いられます。 金属以外の無機材料も見てみましょう。 ガラスの真空容器は、破損の危険性があるためほとんど使われることがなくなりました。 ガラスは可視光に対して透明なので、真空内をのぞく窓材として用いられます。 低真空であれば、窓材にはアクリルなどのプラスチックも使用できます。 光を導入する場合は、透過できる波長範囲によってガラスの材質を選ばなければいけません。 また、真空容器をベーキングする場合には、ガラスの膨張係数が金属より小さいので考慮します。 高真空・超高真空にした容器内での電気計測や電流導入のために、絶縁の気密シール(ハーメチックシール)の導入端子が用いられます。 これには絶縁材として、ガラスやセラミックスなどが使われています。 ガラスのハーメチックシールには、ガラスと熱膨張係数が近い金属であるコバールが用いられます。 セラミックスの場合には、表面をメタライジングして金属をろう付けしたハーメチックシールが用いられます。 これは、いくつかのメーカーから既に販売されています。 ベーキングの必要のない低真空・中真空では、電流導入にエポキシ樹脂なども使用可能ですが、経時劣化を起こすことが多いです。 エラストマ材料とガスの透過 エラストマとは、ゴムなどのように大きな弾性を持つ高分子材料の総称です。 真空技術で用いられるエラストマには、真空容器ののぞき窓や配管フランジの接続部分などに真空封止の目的で使われるゴムのガスケットがあります。 真空用のガスケットは、多くの場合断面が円形でリング状になっているので、Oリングと呼ばれます。 Oリングの形状はJIS B2401-1 Oリング-第1部:Oリングで規定されています。 真空関連で比較的多く用いられているものは、運動用Oリング P 、固定用Oリング G および真空フランジ用Oリング V です。 材質は旧JISの呼び方が一般的で、第1種から第4種まであります。 その中で真空用に用いられるのは、主に第1種と第4種です。 表1は、真空技術で用いられる主なエラストマとその特性です。 Oリングの代表的な材質には、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレン(CR)、シリコーンゴム(VMQ)、フッ素ゴム(FKM)が挙げられます。 表1:主なOリングの材質と識別記号 ニトリルゴム(NBR)とは、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体からなっています。 アクルロニトリルの含量によってゴムの特性が低ニトリルタイプ、中ニトリルタイプに分類されます。 代表的な商品名をブナNといい、旧JISの識別記号は第1種A、第1種Bです。 クロロプレン(CR)とは、クロロプレンの重合からなっています。 モノマーは無色の液体で、特有の臭気があります。 シリコーンゴム(VMQ)とは、ケトンの炭素原子をケイ素原子で置換したシロキサン結合による主骨格を持つ、合成高分子化合物の総称です。 代表的な商品名はシラスティックといい、旧JISの識別記号は第4種Cです。 フッ素ゴム(FKM)は、フッ素を含む高分子からなる特殊合成ゴムの総称です。 耐熱性や耐薬品性、耐油性などに優れています。 代表的な商品名はバイトンといい、旧JISの識別記号は第4種Dです。 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 リーク探し 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第6回:真空機器の取り扱い・保守 前回は、真空用材料と部品を説明しました。 今回は、いよいよ最終回。 真空機器の取り扱い方について解説します。 また、機器の設計製造や使用者の立場から、真空機器を安全に取り扱うための注意点をお話しします。 真空機器を使う上で欠かせない機器の保守の考え方や、点検の勘所についても述べます。 最後に、現在喫緊の課題になっている環境保全への取り組みの技術トレンドもご紹介します。 真空機器を取り扱う際の注意点 真空機器を取り扱う際に、どのような点に注意したらよいのでしょうか。 真空内での放出ガスを最小限にすること、フランジやシールに汚れや傷がないようメンテナンスすること、また真空機器の日々の変化に気付くことも重要です。 ・放出ガスの低減 真空排気は、どのようにすれば必要とする圧力領域に速く達することができるでしょうか。 排気速度の大きい真空ポンプを用いることは経済的ではありません。 第5回で説明したように、速く圧力を下げるためにはできるだけ放出ガスを減らすことが重要になります。 そのため、真空機器を取り扱う上では、容器の中にガス放出の元になるようなものを持ち込まないことが鉄則です。 ・容器の洗浄、乾燥 中真空以下の圧力で使用する場合、真空容器内に挿入する部品などは、あらかじめ有機溶剤や洗剤で脱脂した後よく乾燥させておきます。 組み立て作業に用いる工具は、真空専用として他の工具と区別し、あらかじめ洗浄して油分を除去しておきます。 鉄製の工具は、油分がなくなるとさびが生じるので保管に注意します。 また、真空容器や真空中で使われる部品を素手で触れると、手の油脂が付着してガス放出源になるので、作業には手袋の着用が必要です。 真空容器を真空から大気圧に復圧するときに乾燥ガスを用いることで、容器内の水の吸着を減らすことができます。 ・真空フランジ、Oリング 真空フランジやクランプ形継手、Oリングゴム( 図1)は、ほこりや傷がつかないように取り扱いに注意します。 Oリングは、高真空用グリースを薄く塗布して気密性を保ちます。 グリースを塗布した後はほこりが吸着しやすくなるので要注意です。 Oリングは、装着時に傷がないかどうか目視で確認する癖をつけましょう。 フランジ溝などのOリングのあたり面は、斜めからライトで照らして傷がないかの確認が必要です。 図1:真空フランジの例。 左が旧JIS真空フランジ(VG50)、右がクランプ形継手(NW25)。 写真の黒い部分がゴムのOリング ・日々の記録、管理 真空機器の運用で重要なのは、記録することです。 通常、大気圧から排気を始めて必要な圧力に達するまでの時間は、毎回ほぼ一定です。 この時間と圧力を記録しておくと、取り続けた記録を見て、ある日を境に急に排気に時間がかかるようになったり、到達圧力が下がらなくなったりした場合、リークを疑います。 真空装置の導入時には問題がなくても、使っているうちにゴムが劣化したり、さびが貫通してリークが発生し、知らず知らずのうちに排気時間が長くなっていることがあります。 また、後で説明する真空ポンプのメンテナンス時期になり、作動油が劣化して脱ガスが増えたり、排気速度が小さくなっている場合もあります。 このようなことに気が付くためには、日々の運用できちんと記録を取り、それを保管管理して、作業者が誰でも見ることができるようにしておくことが重要です。 そうすることで、装置劣化や故障の早期発見につながります。 真空機器の保守と安全対策 まず、真空機器の保守の基本的な考え方について述べます。 真空機器も、一般的な機械類と同様に故障が発生します。 一定期間内に故障する確率を故障率といいます。 多くの場合、機器導入後の故障率の経時変化を表すグラフは、バスタブ型になることが知られています( 図2)。 これは、導入直後に起きる初期故障が時間とともに減少し、ある一定の故障率になった後で、今度は機器の摩耗劣化などによる故障率が増加するためです。 図2:故障率曲線 機器の故障は生産ラインの停止に直結するため、企業にとって致命的です。 そこで、このような故障率を少しでも下げるために、故障しそうな部品をあらかじめ交換しておくのが予防保全です。 真空関係では、主に真空ポンプやバルブの定期的なメンテナンスを行います。 例えば、油回転ポンプの作動油の交換、油回転ポンプやドライポンプのシャフトシールの交換などです。 ターボ分子ポンプでも定期的に潤滑油やグリースの交換が必要な機種もあります。 また、ポンプやバルブなどでは、摺動部分のOリングの交換を行います。 このような予防保全の周期は、各メーカーが経験に基づき、定期保守として実施されることがほとんどです。 また、定期的なメンテナンス以外に、機器が故障する前兆をとらえて、警告する予知保全もあります。 ドライポンプなどでは、モータ電流をモニタして、ポンプが摩耗劣化して過負荷になりポンプ電流が一定以上増加すると警告し、事前に故障を防ぐことができるものもあります。 事故による労働災害は、使用者にとっても、従業員にとっても大きな損失になり、企業活動に大きなダメージを被ることにもなります。 また、物的な損害は企業経営に直結する問題を引き起こします。 このような事故を未然に防ぐことは、社会全体にとって非常に重要なことです。 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 真空機器のグリーン化 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 真空関連学会の詳細は、のウェブサイトをご覧ください。 真空関連産業の詳細は、をご覧ください。

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真空とは? 真空技術の概論に入る前に、まず真空とは何かを定義しておきましょう。 文字通りの真空は、真に空、つまり何もないことを意味します。 工業的に真空とは、通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態です(JIS Z 8126-1 真空技術-用語-第1部:一般用語、ISO3529-1 Vacuum technology-Vocabulary-Part 1: General terms)。 つまり、私たちが生活している大気より低い圧力の空間は、真空です。 工業的な真空を作り出すには、真空を保持するための容器(真空容器)と、容器中の空気を排気する真空ポンプが必要です。 真空容器は、真空槽や真空チャンバーとも呼ばれます。 この場合、真空容器の中に残っているガスの振る舞い(気体分子運動論)を知る必要があります。 真空ポンプ、真空容器、気体分子運動論を合わせて、真空の3要素といいます。 真空容器中のガスの圧力や成分を知るために必要な真空計測も含め、真空の4要素という場合もあります( 図1)。 図1:真空技術の4要素 JISやISOによる真空の定義には、重要な用語が含まれています。 まず、圧力とは、単位面積当たりの力を意味し、1m 2に1Nの力が作用するときの圧力は、1Paと定義されています。 大気圧は場所や時間で変動するため、標準的な大気圧(標準気圧)が定められています。 1気圧(1atm)は101,325Paです。 JISやISOが定義する真空は、標準気圧より低い圧力ではなく、容器で隔てられた空間内の圧力が周囲の環境より低い圧力になった状態を指します。 1Nは約100g重に相当するので、大気圧は1cm 2当たり約1kg重の力になります。 つまり、真空容器には、大気側から最大約1kg重・cm -2の力が働いていることになります。 Pa以外にも、さまざまな圧力の単位があります。 3Paです。 欧州ではミリバール(mbar)が多く使われています。 25Paです。 また、北米では、psi(pound-force per square inch)が使われることがあります。 なお、日本では、計量法により、医療関係を除いたほとんどの産業分野において、Paが使われています。 真空の分類と産業応用 真空工学の分野では、圧力領域によって真空を、低真空、中真空、高真空、超高真空、極高真空に分類しています( 図2)。 図2:圧力領域による真空の分類(JIS Z 8126 真空技術-用語-第1部:一般用語) 低真空領域では、真空は、主に大気圧との圧力差を用いた力学的な用途で用いられます。 例えば、工場で製品を搬送するときに製品を持ち上げる真空チャックがあります。 船舶などから粉体の積み下ろしには、掃除機を大型化したバキュームアンローダーが用いられています。 身近な例では、卵パックなどを成形する真空成型技術があります。 これは、加熱したPETフィルムを真空の圧力差を使って力を生み出し、変形させるものです。 このように、製品を吸引したり、変形させる場合、真空と大気の圧力差の限界値は、約10 5Paです。 従って、搬送する製品の重量に応じて、真空チャックのパッドの大きさを設計する必要があります。 また、低真空領域では、物質輸送、特に水分の除去に真空が用いられます。 図3は、水の状態図です。 図3の矢印のように、室温の水(点P)の圧力を下げていくと、水は蒸発して、気体(水蒸気)になります。 そのため、水分を含んだ物を真空中に置くと乾燥します。 これが真空乾燥です。 インスタントみそ汁や、カップ麺の具材の製造に用いられています。 また、真空に物を入れると蒸発熱を奪うため、物が乾燥するのと同時に温度が下がります。 これを積極的に用いたのが、真空凍結乾燥やチルド食品です。 インスタントコーヒーの製造や、食品などの急速冷却に用いられています。 特に葉野菜は、真空冷却によって鮮度が長持ちすることが知られています。 変わった用途としては、勾配のある道路にコンクリートを敷きならす際、真空ポンプで余剰の水分を急速に蒸発させます。 これにより、コンクリートが流れてしまうのを防ぎます。 図3:水の状態図 中真空・高真空領域では、圧力が低くなるほど熱伝導率が小さくなります。 真空による熱伝導の低下を利用したものに、魔法瓶や冷蔵庫などの真空断熱材があります。 代表例は、二重にした窓ガラスの間を真空にして断熱する真空断熱窓です。 また、高真空では平均自由行程が長くなるため、蒸発した分子は真空中の残留ガスと衝突することがほとんどありません。 このような圧力領域は、薄膜作製に用いられます。 例えば、ポテトチップスなどの袋には、食品の酸化を防ぐ目的で、アルミニウムをコーティングしたポリエチレンが用いられます。 アルミニウムのコーティングは高真空領域で行われます。 超高真空になると、ガス分子同士はほとんど衝突しません。 真空容器の壁に衝突する分子も少なくなります。 このような圧力領域では、表面に原子が吸着しないため、表面分析などに用いられます。 このように、真空技術はあらゆる産業の基盤技術であり、果実のなる木のように産業を支えています( 図4)。 図4:真空技術の木(引用:真空技術基礎講習会運営委員会編、わかりやすい真空技術(第3版)、日刊工業新聞社、2010年、P. 242) 3. 気体分子運動論の基礎 真空は何もない空間ではなく、気体(ガス)が残存している状態です。 残存した気体は希薄気体と呼ばれ、真空を考えるには、稀薄気体の性質を知る必要があります。 真空工学では、希薄気体の粘性や熱伝導、拡散を取り扱います。 これは、移動現象論、または輸送現象と呼ばれる化学工学の一分野です。 真空工学では、気体分子を粘性流体(連続体)として扱うか、個々の分子の独立した輸送として扱うかによって、現象が異なります。 その違いを決める指標が、クヌーセン数 Knと呼ばれる無次元量です。 平均自由行程は、圧力pに反比例します。 仮想的な空気分子で考えることで、計算が簡単になります。 5mmであることを覚えておくと便利です。 また、クヌーセン数 Knの大きさによってガスの性質が異なります。 Kn10は分子流領域と呼ばれ、ガスの性質は個々のガス分子の独立した運動の総和で表されます。 このようなクヌーセン数による分類は、真空ポンプや真空計を選択する際に重要になります。 いかがでしたか? 今回は、真空の特徴と産業への応用、また、気体分子運動論について紹介しました。 次回は、低・中真空の作り方を解説します。 お楽しみに! 第2回:低・中真空の作り方 前回は、真空の特徴と産業への応用、また、気体分子運動論を紹介しました。 今回から2回にわたり、真空の作り方を解説します。 今回取り上げるのは、圧力領域が10 5~10 -1Paの、低・中真空領域です(10 5は、通常の大気圧)。 真空を作るには、真空ポンプを使って容器中のガスを減らします(真空排気)。 低・中真空を作るには、主に気体輸送式真空ポンプを使用します。 真空排気の基礎と真空ポンプ 真空を作るために、真空ポンプを使って容器中のガスを減らすことを、真空排気といいます。 言い換えれば真空排気とは、容器から一定量の体積を切り取り容器外に移すことで、その体積中に含まれるガスを容器から取り除くプロセスです( 図1)。 この排気プロセスによって一定の時間に切り取られた体積Sを、排気速度と呼びます。 排気速度Sはm 3・s -1、L・s -1、L・min -1などの単位で表されます。 37倍になる時間を表します。 すなわち、排気速度Sの大きい真空ポンプを使用する必要があります。 図2は容積1m 3の真空容器を、排気速度が異なる2種類の真空ポンプで排気した際の容器内の圧力変化です。 真空ポンプの排気速度は200L・min -1、または排気速度400L・min -1です。 図2が示すような圧力の時間変化を排気曲線といい、排気速度の大きいポンプの方が圧力の低下が速いことが分かります。 もちろん排気速度の大きいポンプは、大型でコストも増加するため、許容できる排気時間とコストのバランスを検討することが重要です。 気体溜め込み式ポンプは、高真空・超高真空領域で用いられます。 低・中真空領域に用いられるのは、気体輸送式ポンプです。 気体輸送式ポンプにもポンプの方式によりさまざまな種類があります。 大別すると、容積に含まれるガスを隔離して圧縮し、大気に放出する容積移送式ポンプと、ガスに一方向の運動量を与えて大気に押し出す運動量輸送式ポンプです。 表1は主な気体輸送式ポンプの種類と、作動圧力範囲です。 これらのポンプには大気圧から使用できるポンプ(油回転ポンプ、スクロールポンプなど)と、大気圧から使用できないポンプ(ルーツポンプ、油拡散エジェクタポンプ、ターボ分子ポンプなど)があります。 大気圧から使用できない場合、補助ポンプを必要とします。 図4:回転翼形油回転ポンプの作動原理(引用:株式会社アルバック カタログより) ポンプ内のシリンダが回転すると、2枚のベーンの間の空間が吸気口と接続され、回転とともに体積が増加しガスが流入します。 シリンダがさらに回転すると、次のベーンでガスが隔離、圧縮され、大気側と接続して排出されます。 ポンプ室内やベーンの周りには油の膜があり、吸入した空気を密閉すると同時にベーンなどが摩耗するのを防ぎます。 通常、到達圧力を下げるために、このようなポンプを2段直列にして用います。 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 運動量輸送式の真空ポンプ 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第3回:高真空・超高真空の作り方 前回は、低・中真空の作り方を説明しました。 今回は、高真空・超高真空領域の特徴と真空ポンプを解説します。 第1回で述べたように、10 -1Pa以下の高真空・超高真空領域では、ガス分子の平均自由行程が長くなり、分子同士がほとんど衝突しない分子流領域になります。 そのため、ガスの熱伝導や粘性が圧力の減少とともに低下します。 この圧力領域は真空断熱などに用いられます。 また、物質を高温で気化させて基板上に堆積させ薄膜を作ることや、表面の分析にも用いられます。 高真空・超高真空の基礎知識 10 -1~10 -5Paを高真空、10 -5Pa以下を超高真空といいます。 分子流領域では、真空容器の中のガス分子は、他の分子と衝突することなく容器の壁から反対の壁に到達します。 ガスの熱伝導や粘性は、1秒間に壁に衝突するガス分子の数に比例し、ガスの圧力にも比例します。 実際に壁に衝突するガスの分子数を考えてみましょう。 1秒間に単位面積の壁に衝突するガス分子の数を入射頻度といいます。 つまり、物質の表面をいくら清浄にしても、10 -5Pa以下の超高真空にしておかないと、真空容器に入れた材料の表面は短時間で残留ガスによって覆われてしまいます。 これは物質を気化させて基板に薄膜を作り、物質の極表面を分析する場合に問題になります。 中真空から高真空・超高真空にかけての真空排気を考えます。 図1は、高真空での排気曲線です。 点線は理想的な排気曲線を表します。 実線は、排気曲線が排気の時、定数で決まる指数関数的な圧力変化(図の点線)からずれて、時間とともにゆっくりになることを表します(第2回参照)。 これは、中真空以下の低い圧力の領域では、真空排気は真空容器内の空気を排気するのではなく、主に容器の壁に吸着している水を排気するためです。 図1:高真空での排気曲線 水は、私たちの日常生活に欠かせない物質です。 大気中にもかなりの水分子、つまり水蒸気が含まれています。 真空容器を大気に開放すると、この水分子が真空容器の内面に吸着します。 容器を真空排気すると、容器内のガスは速やかに排気されます。 しかし、壁に吸着している水は徐々に真空容器内で蒸発するため、排気に時間がかかります。 よって、高真空や超高真空に早く到達するためには、壁に吸着した水を速く蒸発させることが有効です。 そこで、真空容器の温度を上げるベーキング操作を行います。 ベーキングの温度は高い方が良いですが、容器に使われている材料(ゴムのシールなど)の耐熱温度に制限されます。 また、真空中では熱伝導が良くないので、真空容器の中に置かれた部品などの温度が上がるのには時間がかかります。 よって、必要とする到達圧力によってベーキングの温度や時間を決める必要があります。 表1は、高真空・超高真空で用いられる真空ポンプの作動圧力範囲を示します。 高真空・超高真空を得るためには、ここに示すような運動量輸送式と気体ため込み式の真空ポンプが用いられます。 いずれの真空ポンプも大気圧から使用することはできないため、作動できる圧力範囲になるまで補助ポンプを用いて排気する必要があります。 これを粗引きといいます。 図2:ターボ分子ポンプ(引用:日本真空協会関西支部編、わかりやすい真空技術(第2版)、1998年、P. 101) 図3は、動翼と静翼のターボ分子ポンプの排気原理の模式図です。 図の上から入ったガス分子(赤丸)は左向きの線速度を持つ動翼の下面に衝突します。 ポンプの翼はミクロに見ると凹凸があるのと、動翼の表面に衝突した分子が少しの間表面にとどまるため、衝突したガス分子は飛来した方向に関係なくランダムな方向に飛び出していきます。 このとき、図の赤い部分より青い部分の方が広いので、動翼に衝突したガス分子は全体として下に流れていくことになります。 動翼から飛び出したガス分子は、熱運動の速度(図の赤の矢印)に加えて動翼の左向きの速度(図の青の点線の矢印)を持っているので、静翼の下面にのみ衝突します。 このときもまた、下側が広く空いているため分子はさらに下に流されます。 一般的なターボ分子ポンプでは、このような動翼-静翼が10段程度組み合わされています。 このような排気原理のため、ターボ分子ポンプが真空ポンプとして作動するには、動翼の線速度がガス分子の速度と同程度である必要があります。 もし、動翼の回転が遅いと線速度も小さくなるため、今度は動翼の上面側にも分子が衝突します。 その場合、図の上側が広く空いているのでガスは上向きに流れてしまいポンプの作用をしなくなります。 図3:ターボ分子ポンプの排気原理 図4は、ターボ分子ポンプの排気速度の圧力依存性の例です。 ターボ分子ポンプは10 -1Pa程度から超高真空まで排気速度が一定で優れたポンプです。 ただし、水素やヘリウムといった特に軽い気体の場合、分子の速度が速いために排気速度が低下する傾向があります。 また、圧力が高い粘性流領域では、ガス分子同士が衝突して排気の妨げになり、ガスの粘性でモータへの負荷が大きくなって回転速度が落ちます。 ターボ分子ポンプは、分子流領域でしか作動しないため、大気圧から排気するためには補助ポンプが必要です。 そこで、第2回で説明した油回転ポンプを一般的に使用します。 比較的到達圧力が高いドライポンプと組み合わせるために、 図2で示したような、ターボ分子ポンプの高圧側にねじ溝構造の分子ドラッグポンプを設けたポンプが多くなりました。 図4:ターボ分子ポンプの排気速度の圧力依存性(引用:真空技術基礎講習会運営委員会編、わかりやすい真空技術(第3版)、日刊工業新聞社、2010年、P. 97) 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 気体ため込み式の真空ポンプ 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第4回:真空の測定方法 前回は、高真空・超高真空領域の特徴と真空ポンプについて説明しました。 今回は真空容器の中の圧力計測の解説をします。 容器を真空ポンプで排気しても、どの程度のガスが残っているのか分かりません。 そこで、真空容器内の圧力計測が必要になります。 真空の圧力を測る計器を真空計といいます。 真空計には、機械現象に基づいて圧力を測定する真空計や、熱伝導などの輸送現象を利用する真空計、電離現象を利用する真空計などがあります。 ガスの機械現象に基づく真空計 真空計とは、希薄気体の圧力を測る装置をいい、真空ゲージと呼ばれることもあります。 一般的な圧力計は、大気圧を基準として、大気圧からの圧力差を表示します。 これは、ゲージ圧と呼ばれ、大気圧以上を正圧、以下は負圧と呼びます( 図1)。 一方、真空工学で扱う圧力計は、ガスが全くない状態をゼロとして圧力を表示します。 これは、絶対圧と呼ばれます。 真空計は、大気圧以下の絶対圧を表示します。 表1:主な真空計と使用圧力範囲 ガスの機械現象に基づく真空計、つまり圧力を力として直接測定する真空計には、ブルドン管真空計、液柱差真空計、隔膜真空計があります。 この3つについて紹介します。 ブルドン管真空計は最も簡単な真空計の一つです( 図2)。 ブルドン管とは、一端が閉じられた中空のへん平金属管で、ブルドン管の中の圧力が高くなると管が膨らみます。 その変位をリンクとレバーを介してギアで針の回転として表示します。 この真空計は、大気圧以上の圧力の測定にも用いられます。 ガスボンベの調圧弁などに付属しているものもあります。 ブルドン管真空計は、大気圧以上と大気圧以下の両方の目盛りがあるものも多く、連成計と呼ばれます。 目盛りはゲージ圧で表示されていることが多く、大気圧はゼロ、ガスが全くない状態は-0. 1MPaと表示されています。 図2:ブルドン管真空計の外観と内部構造 液柱差真空計は、U字形をしているので、U字管真空計、またはU字管マノメータとも呼ばれています( 図3)。 低真空・中真空も計測することができ、ブルドン管真空計よりも少し精度の高い真空計です。 管内には水や油などの液体を入れます。 左右の管に圧力差があると、液面の高さの差となって表れます。 p 1を非常に低い圧力にしておけば、左右の液面の高さの差から絶対圧が読み取れます。 また、p 1を大気圧にしておくと、液面の高さの差はゲージ圧となります。 このような真空計は、作動液に油を用いて10Pa程度まで測定できるものもあります。 図3:U字管マノメータの測定原理 隔膜真空計とは、ダイヤフラムと呼ばれる薄い板の圧力による変形(たわみ)を利用する真空計です。 ダイヤフラムの変形の検出には、静電容量の変化で捉えるものや、ひずみで電気抵抗が変化するストレインゲージを用いるもの、ひずみによって機械的な振動周波数が変化することを利用するものなどがあります。 近年、半導体の微細加工技術を用いて、ストレインゲージやアンプを内蔵したIC、さらにダイヤフラムそのものをシリコンで作製し、アンプなどを一体で組み込んだ真空計や圧力センサが各メーカーから市販されています。 このような真空計は小型な上に、安価で、直線性も良く、DC電源さえあれば簡単に大気圧から100Pa程度までの圧力が測定できます。 また、機械特性の温度安定性に優れたサファイアをダイヤフラムとして使用した隔膜真空計には、0. 002Pa程度の圧力まで測定できるものもあります。 ガスの輸送現象を利用した真空計 ガスの輸送現象を利用した真空計には、ピラニ真空計、熱電対真空計、水晶摩擦真空計があります。 この3つについて紹介します。 ピラニ真空計は、ガスの熱伝導が圧力に依存することを利用した真空計です。 図4はピラニ真空計の測定原理です。 センサ内に白金、タングステン、ニッケルなどの細い金属ワイヤが張られていて、電流導入端子を介して外部から電流を流します。 このとき発生するジュール熱でワイヤが発熱します。 金属の電気抵抗は絶対温度に比例するため、ワイヤの電気抵抗が一定になるように電流を調整することで、ワイヤの温度は常に一定になります。 ワイヤの発熱は、センサ内のガスを通じて容器に達して放熱されます。 分子流領域ではガスの熱伝導は圧力に比例し、圧力が低いほどガスによる熱伝導が小さくなります。 そのため、圧力が低いほどワイヤの温度を一定に保つための電力が少なくなり、流れる電流が小さく済みます。 そこで、ワイヤに流れる電流値から圧力を読み取ることができます。 図4:ピラニ真空計の測定原理 ガスの種類によって輸送特性は異なるため、熱伝導を利用した真空計では、ガスの種類によって表示値が異なることになります。 真空計は窒素ガスで校正することになっていて、これを窒素相当圧といいます(JIS Z 8126-3 真空技術-用語-第3部:真空計及び関連用語)。 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 ガスの電離を利用した真空計 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第5回:真空用材料と部品 前回は、真空の測定方法について解説しました。 今回は、真空中で使える材料の説明をします。 到達圧力を下げるためには、真空容器や容器内の部品などから発生するガスを低減させることが重要です。 また、真空容器や配管にはフランジなどの接続部分があるので、大気中からガスが漏れてこないようにシールする必要があります。 このようなシール部分からのガス放出や透過も抑える必要があります。 真空容器などの漏れを探す方法やその対処法を解説します。 ガスの発生と真空で用いられる金属材料・無機材料 真空容器や真空内で用いる部品は、機械強度などの特性を吟味することはもちろん、真空環境に置いた時にガスを放出しないことが求められます。 真空容器の中で発生するガスは二通りあります。 一つは、容器や容器内に使用されている部品などの材料中や、材料表面から発生するガスです。 もう一つは、容器や配管などの接続部分のガスケットから透過したものです( 図1)。 毎秒当たりのpV値を流量といい、Pa・m 3・s -1またはPa・L・s -1で表します。 真空容器内に流入するガスの流量Qが小さいほど到達圧力が下がることになります。 到達圧力とは、容器内のガスの発生量と真空ポンプの排気量が釣り合って到達できる最低圧力です。 図1:真空容器からの脱ガス 以上のことから、到達圧力によって、どの程度ガスの発生量を考慮しなければいけないのかを考えてみましょう。 例えば、食品の保存に使う真空パックなどの低真空ならば、ガスの発生量が多い安価なプラスチックを用いても問題になりません。 むしろ、大気圧との差による1kgw・cm -2の力に耐える強度があるかが重要になってきます。 一方、高真空・超高真空が必要な用途では、できるだけガスの発生量を抑えなければならないので、真空容器や中の部品、配管などは金属やガラス・セラミックスを用いる必要があります。 高真空・超高真空でも使えるプラスチックもありますが、第3回で説明したように、真空装置の加熱ベーキングを行う場合には、耐熱性を考慮しなければなりません。 それでは、真空に使われるアルミニウム、黄銅(真ちゅう)、鉄、ステンレス鋼などの金属材料について説明します。 アルミニウムは、軽くて熱伝導が良く、延性が高くて機械加工が容易なため、構造材として広く使われています。 銅やマグネシウムを添加したアルミ合金は、強度が高く加工性も良いので、真空容器や真空内の部品によく用いられています。 アルミ合金の部材をTIG溶接する際、酸化物や炭化物によるホールが形成されやすく、漏れの原因になることがあります。 また、アルミの表面酸化膜は多孔質で水分を吸着しやすいため、高真空や超高真空領域で用いるときには注意が必要です。 黄銅(真ちゅう)は、切削性が良いため真空によく使われる材料です。 ただし、成分の亜鉛は比較的蒸気圧の高い元素なので、高温になるところに使用する場合は注意が必要です。 ニッケルやクロムメッキした黄銅が用いられることもあります。 鉄は炭素の含有量で使用が区別されます。 炭素量の少ない軟鋼(炭素含有量:約0. 08~0. 後述するステンレス鋼と比べてやや脱ガスが多いので、表面をニッケルやクロムでメッキして低減します。 鋳造品は細孔がある場合が多く、中空部分とつながっていて、ガスの発生が長く続き、漏れがあるわけではないのに圧力が下がらないといった原因になることがあります。 また、鉄製品はさびが発生するため保管に注意し、真空容器などは定期的なメンテナンスが必要です。 高真空・超高真空で最もよく用いられる金属材料は、300系のステンレス鋼です。 ステンレス鋼は強度や延性が高く、加工性が良いので真空容器だけでなく、真空中の部材や真空配管、フランジなどにもよく用いられます。 ステンレス鋼は、TIG溶接も容易で信頼性が高く、漏れの少ない真空容器を作製することができます。 真空用途には、主にオーステナイト系のSUS304L、SUS316Lが用いられます。 金属以外の無機材料も見てみましょう。 ガラスの真空容器は、破損の危険性があるためほとんど使われることがなくなりました。 ガラスは可視光に対して透明なので、真空内をのぞく窓材として用いられます。 低真空であれば、窓材にはアクリルなどのプラスチックも使用できます。 光を導入する場合は、透過できる波長範囲によってガラスの材質を選ばなければいけません。 また、真空容器をベーキングする場合には、ガラスの膨張係数が金属より小さいので考慮します。 高真空・超高真空にした容器内での電気計測や電流導入のために、絶縁の気密シール(ハーメチックシール)の導入端子が用いられます。 これには絶縁材として、ガラスやセラミックスなどが使われています。 ガラスのハーメチックシールには、ガラスと熱膨張係数が近い金属であるコバールが用いられます。 セラミックスの場合には、表面をメタライジングして金属をろう付けしたハーメチックシールが用いられます。 これは、いくつかのメーカーから既に販売されています。 ベーキングの必要のない低真空・中真空では、電流導入にエポキシ樹脂なども使用可能ですが、経時劣化を起こすことが多いです。 エラストマ材料とガスの透過 エラストマとは、ゴムなどのように大きな弾性を持つ高分子材料の総称です。 真空技術で用いられるエラストマには、真空容器ののぞき窓や配管フランジの接続部分などに真空封止の目的で使われるゴムのガスケットがあります。 真空用のガスケットは、多くの場合断面が円形でリング状になっているので、Oリングと呼ばれます。 Oリングの形状はJIS B2401-1 Oリング-第1部:Oリングで規定されています。 真空関連で比較的多く用いられているものは、運動用Oリング P 、固定用Oリング G および真空フランジ用Oリング V です。 材質は旧JISの呼び方が一般的で、第1種から第4種まであります。 その中で真空用に用いられるのは、主に第1種と第4種です。 表1は、真空技術で用いられる主なエラストマとその特性です。 Oリングの代表的な材質には、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレン(CR)、シリコーンゴム(VMQ)、フッ素ゴム(FKM)が挙げられます。 表1:主なOリングの材質と識別記号 ニトリルゴム(NBR)とは、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体からなっています。 アクルロニトリルの含量によってゴムの特性が低ニトリルタイプ、中ニトリルタイプに分類されます。 代表的な商品名をブナNといい、旧JISの識別記号は第1種A、第1種Bです。 クロロプレン(CR)とは、クロロプレンの重合からなっています。 モノマーは無色の液体で、特有の臭気があります。 シリコーンゴム(VMQ)とは、ケトンの炭素原子をケイ素原子で置換したシロキサン結合による主骨格を持つ、合成高分子化合物の総称です。 代表的な商品名はシラスティックといい、旧JISの識別記号は第4種Cです。 フッ素ゴム(FKM)は、フッ素を含む高分子からなる特殊合成ゴムの総称です。 耐熱性や耐薬品性、耐油性などに優れています。 代表的な商品名はバイトンといい、旧JISの識別記号は第4種Dです。 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 リーク探し 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第6回:真空機器の取り扱い・保守 前回は、真空用材料と部品を説明しました。 今回は、いよいよ最終回。 真空機器の取り扱い方について解説します。 また、機器の設計製造や使用者の立場から、真空機器を安全に取り扱うための注意点をお話しします。 真空機器を使う上で欠かせない機器の保守の考え方や、点検の勘所についても述べます。 最後に、現在喫緊の課題になっている環境保全への取り組みの技術トレンドもご紹介します。 真空機器を取り扱う際の注意点 真空機器を取り扱う際に、どのような点に注意したらよいのでしょうか。 真空内での放出ガスを最小限にすること、フランジやシールに汚れや傷がないようメンテナンスすること、また真空機器の日々の変化に気付くことも重要です。 ・放出ガスの低減 真空排気は、どのようにすれば必要とする圧力領域に速く達することができるでしょうか。 排気速度の大きい真空ポンプを用いることは経済的ではありません。 第5回で説明したように、速く圧力を下げるためにはできるだけ放出ガスを減らすことが重要になります。 そのため、真空機器を取り扱う上では、容器の中にガス放出の元になるようなものを持ち込まないことが鉄則です。 ・容器の洗浄、乾燥 中真空以下の圧力で使用する場合、真空容器内に挿入する部品などは、あらかじめ有機溶剤や洗剤で脱脂した後よく乾燥させておきます。 組み立て作業に用いる工具は、真空専用として他の工具と区別し、あらかじめ洗浄して油分を除去しておきます。 鉄製の工具は、油分がなくなるとさびが生じるので保管に注意します。 また、真空容器や真空中で使われる部品を素手で触れると、手の油脂が付着してガス放出源になるので、作業には手袋の着用が必要です。 真空容器を真空から大気圧に復圧するときに乾燥ガスを用いることで、容器内の水の吸着を減らすことができます。 ・真空フランジ、Oリング 真空フランジやクランプ形継手、Oリングゴム( 図1)は、ほこりや傷がつかないように取り扱いに注意します。 Oリングは、高真空用グリースを薄く塗布して気密性を保ちます。 グリースを塗布した後はほこりが吸着しやすくなるので要注意です。 Oリングは、装着時に傷がないかどうか目視で確認する癖をつけましょう。 フランジ溝などのOリングのあたり面は、斜めからライトで照らして傷がないかの確認が必要です。 図1:真空フランジの例。 左が旧JIS真空フランジ(VG50)、右がクランプ形継手(NW25)。 写真の黒い部分がゴムのOリング ・日々の記録、管理 真空機器の運用で重要なのは、記録することです。 通常、大気圧から排気を始めて必要な圧力に達するまでの時間は、毎回ほぼ一定です。 この時間と圧力を記録しておくと、取り続けた記録を見て、ある日を境に急に排気に時間がかかるようになったり、到達圧力が下がらなくなったりした場合、リークを疑います。 真空装置の導入時には問題がなくても、使っているうちにゴムが劣化したり、さびが貫通してリークが発生し、知らず知らずのうちに排気時間が長くなっていることがあります。 また、後で説明する真空ポンプのメンテナンス時期になり、作動油が劣化して脱ガスが増えたり、排気速度が小さくなっている場合もあります。 このようなことに気が付くためには、日々の運用できちんと記録を取り、それを保管管理して、作業者が誰でも見ることができるようにしておくことが重要です。 そうすることで、装置劣化や故障の早期発見につながります。 真空機器の保守と安全対策 まず、真空機器の保守の基本的な考え方について述べます。 真空機器も、一般的な機械類と同様に故障が発生します。 一定期間内に故障する確率を故障率といいます。 多くの場合、機器導入後の故障率の経時変化を表すグラフは、バスタブ型になることが知られています( 図2)。 これは、導入直後に起きる初期故障が時間とともに減少し、ある一定の故障率になった後で、今度は機器の摩耗劣化などによる故障率が増加するためです。 図2:故障率曲線 機器の故障は生産ラインの停止に直結するため、企業にとって致命的です。 そこで、このような故障率を少しでも下げるために、故障しそうな部品をあらかじめ交換しておくのが予防保全です。 真空関係では、主に真空ポンプやバルブの定期的なメンテナンスを行います。 例えば、油回転ポンプの作動油の交換、油回転ポンプやドライポンプのシャフトシールの交換などです。 ターボ分子ポンプでも定期的に潤滑油やグリースの交換が必要な機種もあります。 また、ポンプやバルブなどでは、摺動部分のOリングの交換を行います。 このような予防保全の周期は、各メーカーが経験に基づき、定期保守として実施されることがほとんどです。 また、定期的なメンテナンス以外に、機器が故障する前兆をとらえて、警告する予知保全もあります。 ドライポンプなどでは、モータ電流をモニタして、ポンプが摩耗劣化して過負荷になりポンプ電流が一定以上増加すると警告し、事前に故障を防ぐことができるものもあります。 事故による労働災害は、使用者にとっても、従業員にとっても大きな損失になり、企業活動に大きなダメージを被ることにもなります。 また、物的な損害は企業経営に直結する問題を引き起こします。 このような事故を未然に防ぐことは、社会全体にとって非常に重要なことです。 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 真空機器のグリーン化 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 真空関連学会の詳細は、のウェブサイトをご覧ください。 真空関連産業の詳細は、をご覧ください。

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